Kusumoto B. & Kubota Y. Phylogenetic patterns predicting variations in bark-stripping by sika deer.
The Journal of Wildlife Management. Article first published online: 30 SEP 2014 DOI: 10.1002/jwmg.782
この論文では、シカの樹木食害情報を網羅的に調べて、「シカに食べられやすい樹種が、系統的に偏りがあるのかどうか?」、つまり系統シグナルを検証しました。さらに、シカ食害の系統シグナルに基づいて、日本の森林のシカ食害リスクマップを作成してみました。これらの分析結果から、シカ食害に対する森林の脆弱性を、おおまかに予測できると思います。
最近の群集生態学では、系統情報を用いて、種の集合プロセスを検証する研究が多く見られます。一方、私達の論文で示したように、野生生物管理学や保全生態学においても、系統情報を用いた研究アプローチは、極めて有望だと思います。