Multiple filters affect tree species assembly in mid-latitude forest communities. Oecologia.
https://link.springer.com/article/10.1007/s00442-018-4122-6
この論文では、日本の森林モニタリングプロットで収集された樹木種組成データに、種の機能特性と系統情報を統合して、局所群集における機能特性と系統の集合パターンを分析しました。機能特性や系統の集合パターンの非ランダム性(クラスタリングや過分散)は、群集形成の生態学的プロセスを反映していると考えられています。例えば、ある森林群集を構成する樹木種の機能特性が特定の特性値(あるいは特定の系統の種)にクラスタリングしていたら、それは何らかの環境要因によって種がふるいにかけられている(環境フィルターによって種がソートされている)と推論します。この論文では、日本の北から南まで、北方林から亜熱帯林まで様々な森林群集について、緯度に伴う機能構造の集合パターンを検証しました。興味深いことに、多くの森林の機能構造の集合パターンは、ランダムなパターンを示し中立的プロセスが卓越していることがわかりました。同時に、特定の機能特性(例えば、種の耐寒性のようなベータニッチ特性)は、非ランダムな集合パターンを示し、種のベータニッチが気候条件に応じてソートされていることも判明しました。種の分散制限のような確率的プロセスに加えて、気候ニッチによる決定論的プロセスが、森林群集の多様性の緯度勾配パターンを規定していることがわかりました。