私たちの研究グループでは、様々な生物群集の種アバンダンスをデータベース化して、種アバンダンスの統計モデル(中立モデル、ワイブル分布モデルなど)について検証を進めてきました。今回の論文では、種アバンダンスの多峰性分布(multimodal)を説明するモデルとしてGambin modelの適用(Rパッケージも含む)を提唱しました。従来、種アバンダンスに当てはめていた統計モデルは、単峰性(unimodal)分布でした。しかし、実際に野外でサンプリングされた種アバンダンスデータには、2山分布など多峰性分布が現れることも多いのです。このような、種アバンダンス分布の多峰性は、サンプリング対象としている生物群集の分類学的な幅や、サンプリングにおける生態学的異質性(空間スケールなど)と関係しているので、Gambin modelを適用した生態学的推論にも一定の意味があると思われます。