早稲田大学で開催された生態学会に参加しました。今回は、シンポジウムの企画、別シンポジウムでの講演、企画集会でのコメンテータ、3つ掛け持ちでした。私自身の講演は、生態学的ビッグデータの可能性に関する内容で、久保田研の成果のレビュー的な話しをしました。駆け足的にしゃべり倒してしまったので、詳細は分からなかったと推察しております。聴衆の皆様申し訳ありません。また企画集会のコメントもあまり貢献できずに、申し訳ない限りです。それにしても生態学会は長いですね。しかし若手研究者の方と知り合いになれたので、実り多い一週間でした。 3月13日に生物多様性保全のための保護区ネットワークの設計に関する国際シンポジウムを開催しました。システム化保全計画に関するまとまったシンポジウムは、これが日本初だと思います。
システム化保全計画における優先的保全地域を特定をするSpatial Conservation Prioritizationには、主に2つのアプローチあります:一つは、保全目標を先験的に決めうちするアプローチで、最小面積でガンマ多様性をカバーするサイトを選択するアルゴリズムです(MARXANというソフトが代表的);二つ目は、保全目標は先験的に決めないで、様々な保全コストのもとで最大の生物多様性をカバーするサイトを選択するアプローチです(Zonationというソフトが代表的)。今回のシンポジウムでは、それぞれのアプローチを主導している、クイーンズランド大学とヘルシンキ大学の研究グループの若手研究者を招聘して、Spatial Conservation Prioritizationに関する議論を行いました。参加者による質疑も活発でした。同時通訳も付けたので、言語の壁は全くなかったと思います。それにしても、同時通訳の方は凄いです。講演者との20−30分程度の事前打ち合せで、あんなに訳せるものなのかと驚きました。 沖縄県や環境アセスメント関係の方も参加して頂けたので、今後の保全行政(海洋保護区や自然公園の設計)にもSpatial Conservation Prioritizationに基づくアセスメントや保全政策が定着するようになれば幸いです。また、若い学生の方も参加していたので、今後、日本でも実務に直結する保全研究が根付くことを期待したいです。 |
Authorthink-nature.jp久保田康裕(Google Scholar) Archives
July 2023
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