この学会全体のトレンドとしては、やはり、植物種の機能特性と群集(植生)データを統合したアプローチでしょうか。群集の種組成+種の機能特性→生態系機能→生態系サービス、というフローですかね。実際、機能特性アプローチの指標に関して、community weighted mean(機能特性値の群集平均)に言及する発表が多いので、そうなのでしょう。これに、気候変動という上位パラメータが加わって、群集構造や生態系機能やサービスの応答という視点で、発展していきそうです。
それと、今回の学会のフンボルト賞はPierre Legendre 先生でした。受賞講演は”Temporal beta diversity”というタイトルで、群集組成の時系列変化の定量に関するレビューで、とても興味深かったです。 一般講演も興味深い発表が数多くあり、勉強になりました。
Journal of Vegetation Science誌(JVS)のエデイター会議では、様々な統計値が紹介されました。本学会における日本人の学会会員数は150人強で、会員数的には上位です(もっと存在感があっていいのですが)。しかし、日本からのJVS掲載論文のダウンロード数は、とても少なくて、集計されたランク表にリストすらされてませんでした。日本の場合、群集集合アプローチの植物群集生態学者がとても少ないことや、(記載的)植生学が衰退していることなど影響しているのかもしれません。ちなみに、昨年の日本からの投稿論文数は8編程度でした。