生物多様性の変遷を明らかにする: 進化生態学的ビッグデータの可能性と国立自然史博物館の機能
生物多様性情報を活用した研究成果を紹介した上で、以下の2点を結論として示しました。
1)自然史情報の網羅性は、生物多様性研究にとって必須の基盤
2)自然史情報の蓄積は、応用面(保全政策の立案)でも必須
今まで蓄積されてきた網羅的な自然史情報は “タンス預金”のようなものだと、私は考えています。一方、自然史に関する記載研究は評価されないという現実もあります。よって、持続的・発展的に自然史情報を蓄積するには、工夫も必要です。“タンス預金”として隠れている自然史情報を、うまく運用する“仕組み” を作ることが重要です。この”仕組み”の一つとして、国立自然史博物館の機能があるのかもしれません。蓄積された自然史情報を、研究資源として活用してアピール力のある成果を出して、それを基にして、基礎研究を駆動し、さらなる自然史情報を蓄積していければいいのでしょう。