高科直さん(OIST)と共同研究させて頂いた、マクロ生態学的多様性パターン形成を点過程で分析した論文が出版されました。50日間のフリーアクセスなので、興味ある方はご覧下さい。 高科さんの論文では、点過程を用いた個体レベルの空間分布から、生物多様性の主要パターンである、種アバンダンス分布や種数ー面積関係などを分析しています。実際に観察されるパターン(種アバンダンスの対数級数分布や対数正規分布、繻子うー面積関係の3相パターンなど)が、幾何学的な単純原理でうまく再現(予測)できることが新規的です。マクロ生態学でも、このような現象を抽象化したような理論研究が有効であることを示していると思います。
9月にバーミンガム大学のトム・マシューさんが琉球大学に短期滞在して共同研究のデータ解析や共著論文の執筆をしました。その際の旅行記事が、バーミンガム大学Bulletinに掲載されました。
トム・マシューさんは島の生物地理学で有名なホイッタカー教授の元で学位を取られたマクロ生態学の研究者です。昨年から、共同研究をスタートさせて、種アバンダンス分布やベータ多様性に関する共著論文を投稿しているのですが、今後は、アジア島嶼の生物多様性に焦点を当てた生物地理のプロジェクトを推進する計画です。 生物多様性推定とマクロ生態学的多様性パターン分析に関する論文作成ワークショップを行いました。最終日には、国際シンポジウムを開催しました。陸域(植物・鳥類・昆虫群集)と海域(サンゴ・有孔虫・深海ベントス群集など)の生物多様性の定量と群集形成プロセスに焦点を当てたシンポジウムです。なお、今回のシンポジウムは、JSPSの「頭脳循環を加速する戦略的国際研究ネットワーク推進プログラム」 http://www.jsps.go.jp/english/e-zunoujunkan3/index.html)の支援を受けて実施しました。合計6カ国(地域)、台湾大学・台湾清華大学・香港大学・オークランド大学・ヘルシンキ大学・キューガーデン、琉球大学、OIST、千葉大学、JAMSTEC、京都大学、北海道大学から参加頂きました。議論も活発でした。参加者の皆さん、ありがとうございました。
琉球大学と英国王立キュー植物園(キューガーデン)は大学間交流協定を締結して、アジアの植物多様性の研究と保全を推進することになりました。
王立キュー植物園は世界最大の植物園で、特に熱帯域の植物を対象にして、国際的な研究・教育普及活動を推進しています。一方、琉球大学はアジアの熱帯・亜熱帯の生物圏や生物多様性の研究を推進しており、この点において王立キュー植物園との学術交流は両者の発展に寄与します。今回の大学間交流協定に基づいて、1)双方の研究者や学生の交流、2)植物多様性に関する情報の共有、3)セミナー、国際会議、シンポジウムの共同開催、4)国際共同研究、5)植物や菌類の標本の共有および交換、6)その他幅広い交流、を推進します。 http://www.u-ryukyu.ac.jp/univ_info/announcement/index.html キュー植物園のサイトでも、私たちが現在行っている種子保存の共同プロジェクトについて、詳細に取り上げてくれました。以下の記事もご覧ください。 https://www.kew.org/blogs/kew-science/a-blossoming-partnership-in-japan |
Authorthink-nature.jp久保田康裕(Google Scholar) Archives
July 2023
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